東京アナウンススタジオにこめた願い

フリーアナウンサーで東京アナウンススタジオ代表の原元美紀です。
1992年に名古屋のCBC中部日本放送でデビュー、その後フリーアナウンサーに転身し、アナウンサー生活も30年を超えました。ラジオ、テレビ、地方局、キー局、BS・CS、局アナ、フリーアナを経験。情報・バラエティーから報道現場取材まで、アナウンサーの携わる仕事はほとんど経験してきました。
また、現役で放送に出演しながら、放送局や民放労連で全国の若手アナウンサーへの実技指導を行ったり、アナウンススクールではアナウンサーを目指す受験生を指導し、年間数十人の教え子が全国各地へ巣立つなど講師としてもアナウンスに携わってきました。
私自身、憧れていたアナウンサーになるという夢を叶えるために、多くの人が深い愛情で導いてくださいました。
でも、これまでのアナウンサー生活を振り返ると、いつもいつも極限の状態で現場に立っていたように思います。「自分の伝える情報は誰かの幸せや不幸な出来事であり、伝えたことによってさらなる幸せや不幸を生むことがある」と誰かの人生に深く関わる重みを感じながら歩んできました。
私の歩みは、そんな意気込みとは裏腹に一歩目からつまずいてばかり。
なぜなら、疑問ばかりが立ちはだかるからなのです。
「腹から声を出すってどういうこと?」
「笑顔を作ってるつもりなのになんでそう見えないんだろう」
「相手に心を開いてもらうインタビューってどうすればいいの?」
「スタッフとのコミュニケーションの取り方って?」
「どうすれば緊張しなくなる?」
「伝わると伝わらないの差ってドコ?」など。
どれも本にも載っていなければ周りが教えてくれることもありません。
これらの疑問に30年かけてひとつひとつ自分なりの答えを見つけてきました。経験や場数、人との出会い、心理学や演劇などアナウンス以外の分野からのアプローチ、すぐに解決したものもあれば、何年も苦しんだものもあります。また、解決した喜びと同時に、若いうちに知っていれば視聴者の皆さんに向けてもっと良い放送が出せたのではないかという思いにも駆られます。
現場で出会った同僚・後輩アナウンサーの皆さんの中にも、あの頃の私と同じように課題にぶつかり、誰に習ったらよいのか、どこに行ったら教えてもらえるのかわからず、ひとり悩んでいる方も多くいました。なかには困難を乗り越えられず、辞めてしまう人も。
アナウンサーのスタートラインに立てていない学生はなおさらです。自分の歩んでいる道は果たして憧れのアナウンサーに繋がっているのか、悩み、苦しみ、不安を抱えながら歩いています。
そんな「もっと早くこれが知りたかった」「もっと深く学びたい」という声に応える場を作りたいと立ち上げたのが東京アナウンススタジオです。
放送の最前線に立ち続けることにこだわってきた私だからこそ得られた知識・技術、出会った素晴らしい方々とのご縁、30年かけて形作られた原元式『アナウンサー育成メソッド』を惜しみなく伝えたいと思います。
「いま現場に求められるアナウンサー」が1人も多く巣立ってくれることを心より願っています。
2024年10月
東京アナウンススタジオ
代表 原元美紀